既存試料・情報を用いる研究についての情報公開

本学では、医学系研究に協力して下さる方々(以下研究対象者)の利益と安全を守り、
安心して研究に参加していただくように心がけております。
こちらに記載されている研究については、研究・診療等により収集・保存された既存試料・情報を用いる研究で、
直接研究対象者からインフォームド・コンセントを取得することが困難であるため、
情報公開をさせていただいております。

こちらの文書は研究対象者の皆様に、情報公開をするとともに、
可能な限り研究参加を拒否または同意撤回の機会を保障する為のものになります。
なお、研究参加を拒否または同意撤回されても一切の不利益はないことを明記させていただきます。

① 受付番号 倫理 第2726号
② 研究課題 クッシング病における耐糖能異常の検討
③ 本研究の実施体制 【研究責任者】
松村 剛  (熊本大学大学院生命科学研究部 代謝内科学講座 准教授)【研究分担者】
小野 薫  (熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 特任助教)
役割:事務局・データ入力・解析
④  本研究の目的及び意義 脳の一部である下垂体は前葉と後葉に分けられ、前葉からは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン、性腺刺激ホルモンが、後葉からバゾプレシンなどが分泌されます。この内、ACTHの分泌調整は、視床下部―下垂体―副腎皮質軸の中で、CRH、ACTH、コルチゾールの各ホルモンの相互作用により調整されています。クッシング病はACTH産生下垂体腺腫により高コルチゾール血症が継続することで発症する疾患です。典型的な症候として、満月様顔貌、中心性肥満などがあり、非特異的ものとして高血圧、耐糖能異常、骨粗鬆症、月経不順などの合併症があります。合併症のうち、糖尿病はクッシング病患者の約20~40%に認められる代謝異常であり、糖尿病を合併した症例では、糖尿病を合併しない症例と比較し標準化死亡比が高いことがわかっています。ACTH産生腫瘍は1㎝未満のミクロアデノーマの占める割合が多く、マクロアデノーマは10%未満となっています。一般的にマクロアデノーマは、ミクロアデノーマに比べACTH産生能が低いとされていますが、マクロアデノーマでも重症な糖尿病を併発することがあり、腫瘍の大きさと糖尿病の発症・重症度との関連は明らかになっていません。

そこでこの研究では、高コルチゾール血症を伴うACTH産生下垂体腺腫が耐糖能に与える影響を明らかにすることを目的とします。下垂体腫瘍径、高コルチゾール血症の重症度と糖尿病に関連する項目(HbA1cや血糖値、インスリン抵抗性など)を調査し、その関連性について検証することで、クッシング病における糖尿病の発症、重症化に関する予測に関して重要な知見を得ることが期待できます。

⑤ 研究の方法 この研究は、クッシング病の診断で当科(熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科)に入院加療された患者様の臨床データを用いた後ろ向き観察研究です。以前の診療において取得したカルテ情報を収集させていただき、特に下垂体腫瘍径、高コルチゾール血症の重症度と糖尿病に関連する項目(HbA1cや血糖値、インスリン抵抗性など)について解析いたします。
⑥ 研究期間 この研究の実施期間は、研究機関の長より承認いただいた日から2024年3月31日までを予定しています。研究のスケジュールですが、データ取得・統計解析は2023年5月31日までに完了させた後、学会において演題発表し、その後論文投稿を予定しています。
⑦ 試料・情報の取得期間 この研究では、2010年4月1日以降にクッシング病にて当科(熊本大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科)へ入院された20歳以上90歳以下の患者様を対象とします。ただし、以下の項目に該当した患者様はこの研究の対象から除外いたします。

《除外基準》
1. ステロイドでの治療を受けていた方
2. 異所性ACTH産生腫瘍を有していた方
3. がんを患っていた方
4. 妊婦であった方
5. その他研究の担当者から不適当と判断された方

⑧ 研究に利用する試料・情報 この研究に利用する情報は、他のコンピューターから独立したコンピューターに記録させ、コンピューター本体は熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学教室が所有する鍵付きの保管スペースで厳重に管理いたします。また、コンピューターへのログインならびにデータファイルへのアクセスについては、パスワードによる認証を施しセキュリティを確保いたします。データについては成果報告から少なくとも10年間は保管させていただきます。保管期間が終了した場合またはあなた・ご家族など(代理人)が保管の中止を希望された場合には、紙媒体の情報はシュレッダーでの裁断にて廃棄し、電子媒体の情報は該当するデータを復元不可能な状態で削除させていただきます。
⑨ 個人情報の取扱い あなたの解析結果をこの研究に使用する際には、あなたのお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。この研究ではあなたと研究用の番号とを結びつける対応表を作成しますが、その対応表のファイルにはパスワードを設定し、鍵付きの保管スペースで厳重に管理いたします。また、この研究成果を学会や論文にて公表する場合、あなたが特定できる情報を使用することはありません。
⑩ 研究成果に関する情報の開示・報告・閲覧の方法 この研究に参加してくださった方々に関する個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、どうぞお申し出ください。研究の進行状況やその成果、学術的な意義については、説明を希望された場合に限り、他の方に関する個人情報および知的財産の保護等に支障がない範囲内で説明させていただきます。なお、この研究を実施することで、あなたの健康に関する情報またはあなたのご家族に関する遺伝情報が得られる可能性については、今の時点では想定しておりません。また、この研究では、学会等への発表や学術論文への投稿により、研究成果の公表を行う予定です。
⑪  利益相反について 臨床研究を実施するにあたり、研究グループが公的資金以外に製薬企業などからの資金提供を受けている場合に、臨床研究が企業の利益のために行われているのではないか、あるいは臨床研究の結果公表が公正に行われていないのではないか(企業に有利な結果しか公表されないのではないか)などといった疑問が生じることがあります。これを利益相反(患者さんの利益と研究グループや製薬企業などの利益が相反している状態)と呼びます。

この研究は、熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学講座が所有する講座研究費により実施する予定ですが、この研究に携わる全ての研究者によって公正に費用を使って研究を行います。この研究の実施にあたり、研究責任者および研究分担者は、熊本大学大学院生命科学研究部等医学系研究利益相反委員会に必要事項を申告し、審査の上、承認を得ております。したがって、この研究における利益相反の状態は、あなたに何ら危険を及ぼすものではありません。また、研究実施後も、当該研究経過を熊本大学大学院生命科学研究部長へ報告すること等により、利害関係の公正性を保ちます。

⑫  本研究参加へのお断りの申し出について この研究への参加を希望されない方は下記の問い合わせ先までご連絡ください。参加を拒否したことによりあなたの不利益となることはありません。
⑬  本研究に関する問い合わせ この研究に関してご質問や相談などが必要な場合には、下記連絡先にご連絡ください。

担当者所属名:熊本大学病院 糖尿病・代謝・内分泌内科
担当者名:小野 薫
連絡先:電話 096-373-5169 | FAX 096-366-8397